フリジキラーフィルターは、バーダープラネタリウム社がアクロマートユーザーのために専用に開発しました特殊フィルターです。イメージとしては、F8クラスの像をF15クラスの像に引き上げる効果があり、すべてのアクロマートレンズが発生する色の「フリンジ」を大幅押さえてくれます。同社製セミアポフィルタが青領域(380〜460nm)をカットしつつ赤領域を強く透過するのに対し、フリンジキラーフィルタは、赤領域を押さえるため、赤外カットコーティングを施しています。

これまでのマイナスバイオレットフィルタは、単に特定波長以下のスペクトルスロープを取り去るだけですが、フリンジキラーではスペクトルの必要領域を正確に減衰しています。バーダーはこの技法により、害が最も大きい外焦点部の青波長域を微調整しながら最大限に減少しています。その際、重要な緑-黄色域の波長を調整し、眼が敏感に感じる成分を入れることで、オリジナルのカラーバランスを保ちつつシャープな像が得られるように設計しています。その結果、このフィルタはイメージの明るさに影響を与えず力強い色を保ちながらも、重要な波長の場所でコントラストを減少することなく、ほとんどの色収差を除去します。みなさまご存知のように、星が放つ光の波長の持つ意味は大変大きく、フリンジキラーはこれら有効な波長を一筋も失いません。いろいろな地上観測のシーンでもこのフィルタは理想的な効果をもたらすことでしょう。


20cm〜25cmの鏡筒では、ほとんど見えない馬頭星雲が見えるようになり、カリフォルニア星雲は、コントラストがはっきりとしてフィラメント構造の詳細がよく見えるようになります。

Hβフィルターを使用すれば、使用しない場合に比べ、M42/43、北アメリカ星雲、その他いくつかの天体もよく見えるようになりますが、多くの場合、これらの天体はUHC-S やOIIIフィルターを使用した方が全体のディテールの見え方はよくなります。Hβフィルターを使用して、他のフィルターの視界とHβの視界を比較することで、より明るい星雲の構造上の詳細も観察することができます。

眼視でHβフィルターご使用の場合は、口径が大きいほどよく見えますので、可能な限り大きな口径の望遠鏡お勧めします。

最高品質のバーダープラネタリウム社製フィルタは複数を組み合わせて使用できますので、複数のフィルタの複合効果が期待できます。映像の色収差をより少なくして、しかもコントラストが最大限に延びるようには、ムーン＆スカイグローフィルタとフリンジキラーの組み合わせをお勧めします。この２つのフィルタは相互に補完し、完全なニュートラル像を得ることができます（着色はしません）。画像の輝度もムーン＆スカイグローの最適化コーティング設計と、高精度のアンチ反射コーティングによって、最小限の影響しか受けません。

フリンジキラーはバーダーコントラストブースターを完全に補完します。コントラストブースターは、アクロマートから可能な限り最大のシャープさとコントラストを引き出すように設計されています。バイオレットむらを完全に除去し、やや暗めで黄色味を帯びた効果を発揮します。さらに、色のコントラストを強調するためのRGBフィルタ能力も追加されています。これに比べてフリンジキラーは、もっとマイルドで自然なフィルタ処理をするので、F8程度のアクロマートでクラシカルなF15アクロマートによく似た像を得ることができます。オリジナル輝度を変えない解像度とコントラストの向上など、フリンジキラーは理想とする像を提供すると確信しております。

このフィルタ性能を得るために、複雑な積層コーティングを最新のDWDMプラズマアシストコーティング工程により施します。1面当たり50層に近いコーティングが必要です。アマチュア向け天文フィルタの中でもこれまでに実現できた最も複雑なコーティング構造を持つのが、フリンジキラーではないでしょうか。

フリンジキラーはデジタルイメージャー（CCDカメラ、各種デジカメ、およびウェブカメラ）にとって、アクロマート屈折望遠鏡の究極の友となります。惑星やディープスカイの撮影では、高度の透過率とフリンジを除去する効果が有効です。バーダー社は有名なUV/IRカットコーティング材を「フリンジキラー」構成要素の一部として設計をしましたので撮影に不要のIR波を完全にカットします。