●ハーフペンタプリズムの2面反射により、直視状態と同じ「上下左右倒立像」のまま光路を45゜曲げる「整像」プリズム。通常の天頂プリズムや天頂ミラーを用いて観測する場合、裏像（鏡像）になるので方角の同定やスケッチ等に不都合が生じます。いっぽう45゜正立プリズムを用いれば裏像になりませんが、中央に稜線が入る構造上、非常に高精度な製品でもシャープネス劣化を免れないため、高倍率観測時に不都合が生じます。ハーフペンタプリズムを用いると、像は直視状態と同じ「上下左右倒立像」のままで裏像にならないため、方角認識やスケッチ等に不都合は生じません。稜線が存在しない単純な平面反射のため像質の劣化も生じず、光路だけを45゜曲げることができます。
●ハーフペンタプリズムの第1反射面は「全反射」のため、光量損失は実質的にゼロです。更にKasai DXハーフペンタプリズムに搭載されたプリズムの第2反射面には、可視光域全体に渡って99%の高反射率を示す「ディエレクトリック・コーティング（Dielectric Coating）」を施しており、更に透過面には徹底したブロードバンドマルチコートを施して透過率を高めているため、ガラス内での吸収分を加味しても、2回透過・2回反射の合計透過率は約
98%に達しています。この値は増反射処理を施した高級天頂ミラーの反射率（96%前後）より高い値であり、直視状態とほぼ同じ明るさで対象を見ることができます。もちろんプリズム本体には非常に高精度な製品を用いており、直視状態と変わらないシャープネスが保てます。プリズムのサイズも十分大きな物を使用しており、射出口径もφ29mmを確保しているため、長焦点広角アイピースを用いてもケラレは全く生じません。CNC切削加工＆ブラックアノダイズ仕上げによる堅牢で美しい筐体、真鍮リング締付式アイピースホルダーなど各部の造作も高品質。僅か210gの軽量仕様ながら、肉厚なCNC加工フレームの採用により荷重に強く、双眼装置など重量のあるアクセサリーを接続してもタワミは生じません。必要光路長は僅か82mmで、殆どの望遠鏡で合焦可能です。バレル先端にはフィルターネジも完備しています。
●Kasai DXハーフペンタプリズムは屈折望遠鏡やシュミカセ&マクストフカセ等カセグレン系のユーザーで、光量もシャープネスも落とさず、かつ裏像にもならずに光路を４５゜曲げたい、という要求にフル対応します。特に高倍率を用いる月・惑星観測や、双眼装置併用時にも好適でしょう。光量損失が極めて少ないため、星雲星団観測にも適しています。写真撮影時においても、裏像にならないため画像処理での左右反転作業が不要になります。必要光路長が短いため、
ペンタプリズムでは合焦が得られない望遠鏡にも非常に有用です。ハイグレードな「整像プリズム」で、ストレスの無い観測をお楽しみ下さい。
